英語・日本語・スペイン語で働く私のMac設定と、言語の使い分け
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2026年9月30日更新
私の1日は、3つの言語で回っています。勤め先はサンフランシスコに本社があるVercelで、私は大阪からフルリモート。お客様やパートナーとは日本語、グローバルのチームとは英語でやりとりしています。スペイン語は母語で、麻雀のコーチングで使う3つの言語のひとつでもあります。カスタマーサクセスの前はフロントエンドエンジニアでしたし、今もサイトを作っているので、コードを書く時間もあります。
結論から言うと、入力ソースは2つで十分です。ストレスの大半は日本語IMEから来ます。そしてコードは、誰が読むにしても英語で書くのが一番です。以下は、そのための設定と習慣です。
入力ソースは2つで十分
「ABC」と「日本語(ローマ字入力)」の2つだけにしておくのがおすすめです。スペイン語用の入力ソースは要りません。アクセント記号はABCレイアウトのデッドキーで打てますし(後述)、スペイン語のキー配列にすると、コードで一日中使う括弧や記号の位置が変わってしまいます。入力ソースがちょうど2つなら、切り替えのショートカットは単純なトグルになります。
切り替えはControl+スペース、地球儀キー、Caps Lock
macOSには切り替え方法が3つあり、どれも「システム設定」>「キーボード」で設定します。
- Control+スペースで、直前に使っていた入力ソースに戻ります。Controlを押したままスペースを続けて押すと、一覧から順に選べます。Control+Option+スペースでは、入力メニューの次の入力ソースに切り替わります。
- 地球儀キー(地球儀マークがないキーボードではfnキー)も、「fnキーを押して」(または地球儀キー版の同じメニュー)を「入力ソースを変更」にすれば、切り替えに使えます。
- Caps Lockでも日本語とABCを切り替えられます。「テキスト入力」の「編集」から、「Caps Lockキーで“ABC”と切り替える」をオンにします(表記は入力ソースの構成によって変わります)。
ひとつ注意したいのは、Control+スペースがVS Code(とそのキー設定を引き継いでいるCursor)やJetBrains系のIDEでは、補完のショートカットでもあることです。OS側のショートカットが優先されるので、エディタには届きません。「キーボードショートカット」>「入力ソース」で「前の入力ソースを選択」をオフにして地球儀キーで切り替えるか、エディタ側で補完のキーを変えましょう。
同じ「編集」の画面にある「書類の入力ソースを自動的に切り替える」も、オンにしておくと便利です。書類ごとに入力ソースを覚えてくれるので、エディタはABCのまま、チャットのウインドウは日本語のまま、という使い方ができます。
日本語IMEで変えておきたい設定
日本語の設定は、メニューバーの入力メニューから開けます。
ライブ変換。 スペースを押さなくても、入力中に漢字へ変換してくれる機能です。チャットでは速いのですが、技術的な文章では、製品名やAPIの用語が打っている途中で勝手に書き換わってしまいます。入力メニューにチェック項目として出ているので、設定画面を開かなくても切り替えられます。
数字を全角入力。 オフにしておくと、日本語モードでも数字が半角で入ります。
英数キーとかなキー。 JISキーボードのこの2つは、押すたびに切り替わるトグルではなく、行き先が決まっているキーです。英数を押せば必ず英字、かなを押せば必ず日本語になるので、今どちらのモードかを気にする必要がありません。USキーボードにはこの2つのキーがありません。標準で用意されている代わりは、ひらがなに切り替えるControl+Shift+Jと、IMEの英字モードに切り替えるControl+Shift+アポストロフィです(設定で英字モードを有効にしておく必要があります)。USキーボードを使っている日本のエンジニアには、Karabiner-Elementsを入れている人も多いです。用意されている日本語向けのルールを使えば、左コマンドキーの単押しを英数、右コマンドキーの単押しをかなにできます。
モードを間違えたとき。 日本語モードのまま英単語を打って「ねxt」になってしまったら、確定する前にControl+;(セミコロン)で英字(next)に戻せます。Control+Kでカタカナ、Control+Jでひらがなです。F6〜F10でも同じ操作ができます(fnキーを押しながらの場合もあります)。確定してしまった文字は、選択してControl+Shift+Rを押すと候補を出し直せます。
コードに紛れ込む全角文字
日本語IMEは、ASCII文字の全角版を入力します。全角スペース(U+3000)、()、:、!、設定によっては全角数字もそうです。日本語の文章ならそれで正しいのですが、コードの中では、気づかないうちに問題を起こします。
- 全角スペースは目に見えず、空白として扱うかどうかはツール次第です。JavaScriptは空白として受け付けますが、Pythonは「invalid non-printable character U+3000」で止まり、シェルのコマンドでは2つの単語がひとつにくっつきます。ESLintの推奨ルールに入っている
no-irregular-whitespaceは、文字列の外にある全角スペースを検出してくれます。 (のはずの場所に(があると、TypeScriptは「Invalid character」エラーを出します。- Markdownでは、
##のあとが全角スペースだと見出しになりません。そのまま文字として表示されます。
リポジトリの中から探すなら、次のコマンドを使います(日本語の文言にもヒットしますが、バグなのはコードの中にあるものです)。
rg -n '[\x{3000}\x{FF01}-\x{FF5E}]' --type ts --type js --type css
ユーザーの入力は、弾くのではなく正規化しましょう。
"ABC123 456".normalize("NFKC") // "ABC123 456"
"〒530-0001".normalize("NFKC") // "〒530-0001"
"530ー0001".normalize("NFKC") // 変わらない:「ー」はハイフンではない
大事なのは最後の行です。日本語モードではハイフンキーで長音記号の「ー」が入るので、郵便番号や電話番号にこれが混ざってきます。NFKCでは変換されないので、自分で置き換えてください。
USキーボードでスペイン語のアクセントを打つ
ABCレイアウトでは、アクセント記号はデッドキーで入力します。組み合わせを押して指を離してから、文字を打ちます。
| 文字 | キー |
|---|---|
| á é í ó ú | Option+E、続けて母音 |
| ñ | Option+N、続けてN |
| ü | Option+U、続けてU |
| ¡ | Option+1 |
| ¿ | Option+Shift+/ |
文字キーを長押しするとアクセントメニューも出るので、たまに使う程度ならそれで十分です。ラテン文字の言語をまとめて扱える拡張版のABCレイアウトもありますが、必須ではありませんし、スペイン語だけなら要りません。
誰と、どの言語で話すか
私の仕事の多くは橋渡し役です。日本市場の事情をグローバルのチームに英語で説明し、日本のお客様とは日本語で仕事をしています。言語の選び方は、次のように決めています。
- 相手ごと: 共通の言語があるなら、相手が一番得意な言語を使います。日本のお客様とは、英語が上手な方でも日本語です。人は自分の言語で話すときの方が、多くのことを、より正確に話してくれます。とはいえ、まずは聞いてみましょう。英語を練習したいという方もいますし、それを決めるのは相手です。
- チャンネルごと: ひとつのチャンネルにはひとつの言語。両方の言語の人がいるチャンネルでは、1つのメッセージの中で言語を混ぜず、それぞれの言語で全文を投稿します。
- 話すのと書くのは別物: 英語を読むのは得意でも、会議のスピードで聞き取るのは大変、という人はたくさんいます。日本の参加者がいる英語の会議のあとは、文章でまとめを送りましょう。
コード、コミット、命名は英語で
識別子、コミットメッセージ、ブランチ名、PRのタイトルは、チーム全員が日本人でも英語で書くのがおすすめです。ライブラリもエラーメッセージも検索結果も英語ですし、いずれは英語話者もチームに入ってきます。コメントやPRの説明文は、チームの言語で構いません。
難しいのは業務用語です。一度対応表を作って、リポジトリに置いておきましょう。
| 日本語 | コード |
|---|---|
| 見積もり | quote |
| 請求書 | invoice |
| 発注 | purchaseOrder |
| 郵便番号 | postalCode |
| 都道府県 | prefecture |
| フリガナ | furigana |
フリガナのように、ぴったりの英語がない言葉はローマ字で統一します。避けたいのは、同じ言葉に3人が3通りの訳を付けることです。
会議の途中で言語を切り替えるコスト
切り替えるたびに、何かしらのコストがかかります。一番高くつくのは、考えている途中での切り替えです。会議の言語は最初に決めて、切り替えるのは区切りのいいところだけにしましょう。一文ごとに言語を行き来するより、最後にもう一方の言語でまとめる方がうまくいきます。
通訳と参加者を1人で兼ねるのは避けてください。私はMリーグの配信で同時通訳をしていますが、通訳には注意力を全部持っていかれます。議論も回さなければいけないなら、どちらも中途半端になります。どちらかを誰かに任せるか、最初からそのつもりで準備しましょう。
数字にも気をつけましょう。日本語は万と億で数えますが、英語はthousandとmillionで数えます。さらにスペイン語のbillónは、英語のbillion(10億)ではなく1兆です。10万は100 thousand、1億は100 million。大事な数字は口頭で換算せず、チャットに数字で書きましょう。
日本語のビジネスメールとチャット
海外の同僚に説明するときは、型から伝えるのが早いです。メールなら、会社名と「様」を付けた宛名、「お世話になっております」、名乗り、本題、結びの一文。チャットはもっと短くて構いませんが、いきなり本題には入りません。社内なら「お疲れ様です」、お客様には、共有のSlackチャンネルでも「お世話になっております」から始めます。
株式会社〇〇
〇〇様
お世話になっております。〇〇の石原です。
本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
次のステップを以下にまとめました。
1. 検証環境の準備(弊社、10月9日まで)
2. 要件のご確認(御社、10月14日まで)
ご確認いただけますと幸いです。
引き続きよろしくお願いいたします。
本題は挨拶のすぐあとに置き、期限は日付で書きます。「来週中」だと、読む人によって思い浮かべる日が違います。お客様や上司への返事は「承知しました」にしましょう。「了解しました」は、くだけた印象を受ける人が多い言葉です。敬語そのものについては語学の記事に書いています。
今日のうちに入力ソースを2つに整理して、ライブ変換を1週間オフにしてみてください。必要かどうかは、それから決めれば十分です。