日本語対応は翻訳だけでは終わらない

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2026年9月30日更新

大学で翻訳を学び、越境ECサービスで12の市場向けの多言語マーケティングを担当し、その後フロントエンドエンジニアになりました。この順番で経験してきたので、翻訳を渡す側と、受け取って実装する側の両方の立場で、「公開してみたら何かおかしい」という場面に立ち会ってきました。

その段階になると、文言自体はたいてい問題ありません。崩れるのは、その周りです。この記事では、日本語で使われるサイトを見るときに私が毎回確認していることをまとめました。海外製のプロダクトを日本向けにするときや、海外のチームにレビューを返すときの参考にしてください。

改行位置

日本語は単語の間にスペースがないので、ブラウザはどこでも改行できます。単語の途中でもお構いなしです。本文なら誰も気にしませんが、見出しで単語が2行に分かれたり、最後の行に1文字だけ残ったりすると、とたんに雑に見えます。

:lang(ja) h1,
:lang(ja) h2 {
  word-break: auto-phrase;
  text-wrap: balance;
}

auto-phrase を指定すると、文節の区切りで改行されるようになります。効くのは要素自身か祖先要素に lang="ja" が付いている場合で、今のところ対応しているのはChromium系のブラウザだけです。未対応のブラウザではこの宣言が無視されるだけで(text-wrap: balance は効きます)、表示が崩れることはありません。入れておいて損はないと思います。

氏名

日本の氏名は姓が先で、多くのフォームではフリガナも聞きます。同じ漢字でも読み方が何通りもあるからです。海外製のフォームによくある「Full name」の1欄だけでは、姓と名の区別も読み方も分からなくなります。その結果、${firstName}様 で始まるメールは、姓と名を取り違えるか、お客様を下の名前で呼んでしまうかのどちらかになります。

よくあるのは、姓、名、それぞれのフリガナの4欄構成です。姓と名の欄に autocomplete="family-name" と "given-name" を付けておけば、ブラウザの自動入力も正しく動きます。

住所

住所は大きい単位から順に、郵便番号、都道府県、市区町村、番地、建物名と書きます。日本のユーザーは、7桁の郵便番号を入れれば都道府県と市区町村が自動で入るものだと思っています。番地から始まり、最後にアメリカ式の「State」のプルダウンがあるようなフォームでは、いつもと逆の順番で入力してもらうことになります。

金額と日付

金額や日付を自分でフォーマットするのはやめましょう。Intl は円に小数がないことを知っていますし、日本語ロケールなら全角の円記号まで使ってくれます。

new Intl.NumberFormat("ja-JP", { style: "currency", currency: "JPY" }).format(
  19800,
)
// "¥19,800"(en-US だと "¥19,800")

役所の書類や年配の方向けのサービスでは、今も和暦がよく使われます。これはカレンダーの拡張指定で対応できます。

new Intl.DateTimeFormat("ja-JP-u-ca-japanese", {
  era: "long",
  year: "numeric",
  month: "long",
  day: "numeric",
  timeZone: "Asia/Tokyo",
}).format(new Date("2026-09-30"))
// "令和8年9月30日"

timeZone は必ず指定してください。new Date("2026-09-30") はUTCの0時として解釈されるので、指定しないと、南北アメリカのようにUTCより時刻が遅い地域のサーバーやブラウザでは「9月29日」と表示されてしまいます。

テキストの長さ

日本語のラベルは英語より短くなることが多い反面、読みやすくするには行間を広めに取る必要があります。スペイン語やドイツ語はその逆で、英語に合わせたサイズのボタンからはみ出します。レイアウトは最初に書いた言語ではなく、対応する言語のうち一番長くなるものに合わせて組みましょう。

決済

どこの国でもカード払いが当たり前、というわけではありません。日本ではコンビニ払いや銀行振込が今も普通に使われていて、カードしか選べない決済画面では、最後の一歩でそうしたお客様を逃してしまいます。逆もまたしかりで、コンビニ払いしかない日本のサイトは、海外からだと買うのが難しくなります。

マーケティングのコピー

翻訳の質が良くても、それだけでは足りないのがマーケティングのコピーです。完成した英語版を翻訳するより、同じブリーフをもとにネイティブスピーカーに書いてもらう方がいいと私は考えています。人がものを買う理由は、市場によって違うことが多いからです。

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